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岡部 誠 助教

OKABE, Makoto

コンピュータ学講座

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コンピュータグラフィックス(CG)と、そのデザインツールに興味があり研究を行っています。みなさんは自分で映像作品を作ったことがありますか?・・・と聞かれた時、我々みんなが「はい!」と答えられる未来を創ること、そして映像産業における高度な映像制作過程の更なる効率化を目指し、日々、研究活動に励んでおります。

CGデザインが難しい理由の1つとして「抽象的なパラメータ」という問題があります。図1はコンピュータシミュレーションに基づく、煙、樹木、照明のデザインツールの例です。

パラメータ調整
図1:煙、樹木、照明のデザインツールの例。煙粒子の挙動を制御するための数値入力パネル、 樹木の成長を制御するためのプログラミング言語、照明を配置するためのGUI。

こういったツールを用い、まず、デザイナがパラメータ調整を行います。すると、コンピュー タがシミュレーションを行い、CG画像やアニメーションを表示します。デザイナは結果を確認し、修 正があれば再度、パラメータ調整を行います。ところが、パラメータをどう修正すれば、自分の欲しい煙の動き、樹木の形状や照明効果が得られるのでしょう か?パラメータ調整が見た目にどう影響を与えるのか?その理解はしばしば試行錯誤を伴う、時間の掛かる仕事となります。シミュレーションツールとしては一 流のソフトウェアも、デザインツールとしては非直観的で、改良の余地がたくさんある、という訳です。一方、下の図では、デザイナがCG画像やアニメーション上に、スケッチ、ペイントツールを使って直接見た目を指定します。

パラメータの自動調整

コンピュータは指定された見た目を達成するため、パラメータを自動推定した上でシミュレーションを行い、結果を表示します。修正があれば再度、結果の上に直接何かを描 きこむ。この様なユーザインタフェースと自動パラメータ推定アルゴリズムを提案できれば、デザイナは 抽象的なパラメータに触れずに直観的に目的が達成できます。この様なアイデアに基づき、私もいくつかの研究を行いました。興味が御座いましたら、詳細はHPをご覧ください。
http://www.seman.cs.uec.ac.jp/~okabe/index-j.htm

さて、現在も同様の興味を持っている私ですが、その応用範囲は3次元グラフィックスから「現 在容易に利用できるようになった大量の動画データ」に移りつつあります。デジタルビデオカメラが普及しています。携帯電話でも動画を撮影できます。更にYouTubeに代表されるような大手動画サイトが多く存在していて、撮影したらすぐにアップロードできま す。私のアイデアは、そういった大量の動画を分析して様々な知識を抽出・利用することで、新たなデザインツールを構築し、容易で直感的な映像製作環境が実 現できるのではないか、というものです。例えば、抽出された動きに関する知識を用いると絵画や写真が動き出しそうです。また、動きと音声の関係に着目し て、便利な音声合成技術も開発出来そうです。絵画に関しては、以前、絵画の中に描かれた水、煙、炎などの流体をアニメーションさせる、そのために、ビデオを用いる、という研究を行 いました。


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Campfireはデジタルペイント、Water Surfaceは 油絵ですが、実際の流体を撮影したビデオをVideo Exampleとして用いることで、両者を合成し、「画像のような見た目を持つ、ビデオのような動きのアニメーション」を合成する手法で す。詳細はHPをご覧ください。
http://www.seman.cs.uec.ac.jp/~okabe/AnimePicFluid/index-j.htm

それでは、みなさんと研究できる日を楽しみにしております。